謎の多い場所、、、NICUとは?

こんにちは!

今回はあまり知られていない「NICU」について、何をする所なのか?誰がなぜ入院するのか?などを詳しく説明していきます。

NICUとは??

普段あまり聞き慣れない「NICU」。ただ、少し前に話題となった”コウノドリ”で聞いたことがある人もいるのでは?

NICU=「neonatal, 新生児(N)」+「intensive care unit, 集中治療室(ICU)」

つまり、新生児(赤ちゃん)用の集中治療室です。
直接大人が入院するわけではなく、赤ちゃんも健康で産まれて治療の必要がない子はNICUに入らないので、一般的にはあまり知られていません。なので謎に満ち溢れていると思います。

NICU室内は、とても清潔であり、空調は26-28℃前後に設定されています。
これには理由があり、
・赤ちゃんは免疫状態が弱く感染症に弱いこと
・赤ちゃんは体温を調整するのが苦手で、寒い環境だと状態が悪化してしまうこと
が挙げられます。

また部屋の外からばい菌が入ってこないように、
NICU全体が陽圧室になっており、
ドアを開けた時に必ず、NICU→室外に空気が流れるようになっています。
こうすることで、外からの菌の侵入を防いでいます。

他にも、感染対策としては、
赤ちゃんを触る前は必ず手指消毒を行い、さらに一人一人専用の使い捨て手袋を毎回使用することで、再診の注意を払って対応しています。

働いているのは小児科の先生??

働いている先生は、みんな小児科の先生です。
ただ、小児科といってもその中でも、専用分野に分かれています。
大人で、循環器内科、腎臓内科、内分泌内科、神経内科、、、などと分かれている様に、
小児科の中には、
循環器、神経、血液、内分泌、腎臓、アレルギー、「新生児」、、、
など細かく分かれており、これを専門医と呼びます。
※専門医を取得するまでにかかる年数は、医者になって約10年ほどかかります。
 論文を書いたり、試験があったりと、専門医を取るのも大変です、、、(笑)

その中でも、「新生児分野の先生」が主に働いています。

新生児の先生は、全身の集中治療を行うので、心臓、脳、腎臓、、、と結局は全てのことを理解していないと治療できません。分野が分かれているといっても、全部に対して専門的な治療を行っています。

また、ほとんどの病院で、若手の教育も同時に行っております。ですので、小児科医1~5年目の医師も、新生児医療を学ぶために一緒に働いていることが多いです。なので、専門医ではない医師もいます。

若い医師は30歳前後くらいになりますが、現在はどこの病院もチーム医療を行っており、若い医師だけで治療を行うのではなく、専門医のベテラン医師に相談しながら治療を行っているので、心配する必要はありません!!

どんな子が入院するのか??

NICUは新生児が入院する病棟です。
入院の対象となる子は、

  □超低出生体重児(出生体重1000g以下)
  □極(ごく)低出生体重児(出生体重1000-1500g)
  □低出生体重児(出生体重2500g以下)
  □早産児(在胎週数37週未満)
  □基礎疾患がある赤ちゃん(産まれた時に病気がある)
     ・心臓に異常がある
     ・呼吸のサポートが必要
     ・低血糖がある
     ・哺乳が上手くできない、吐いてしまう
     ・黄疸の治療が必要
     ・感染症のリスクがある
     ・その他

とても早く産まれたり、小さく産まれてくる子は当然集中治療が必要になります。
しかし、普通に産まれてきた赤ちゃんでも、出生直後に病気が分かることがあったり、お腹の外の環境に上手く適応できない(適応障害)子も中にはいます。その場合、外の環境で自立して生きていけるようになるまでは入院対象となります。

気になる病気がある際は、こちらを選択して確認してください。

どのくらい入院するのか??

入院日数に関しては、一人一人変わってきます。またNICUの施設ごとでも退院基準も異なってきます。
退院基準は、体重2300-2500g、修正週数37週前後となっている施設がほとんどです。

例えば、在胎週数23週で産まれた子は、約3-4か月入院します。
逆に、正期産児であれば、呼吸障害・黄疸・嘔吐などの一時的な症状の場合、改善すれば2-3日で退院できます。

何が理由で入院しているかによっても入院日数は大きく変わってきます。何か気になる点があればこちらをクリックして質問してください。

どんな管理をしているのか??

NICUの医師は、生まれた直後から管理が始まります。
経膣分娩、予定帝王切開、緊急帝王切開など、分娩の方法やその時のリスクはお母さん一人一人で変わってきます。
産婦人科の医師が、産まれてくる赤ちゃんのリスクが高いと判断した場合は、事前にNICUに連絡が入り、NICU医師立ち会いのもと赤ちゃんが産まれます。リスクが低くても、出生直後に異常が見つかり、緊急でNICUの医師を呼ぶことも多々あります。

産まれた直後に行うことは、蘇生です。これは医師や助産師が、赤ちゃんがちゃんと呼吸をして、外の環境に適応するまでサポートする行為をいいます。この説明に関しては、こちらに詳しく載せてあります。
蘇生が終わり、ある程度安定したら、NICUの入院基準を満たす子はNICUへと入院となります。

今回は実際にどのような治療が行われているかを説明します。

  □点滴
NICUに入院する子は、体が小さくて自分で水分が採れなかったり、血糖が低かったりするので、点滴は必須です。基本的にNICU入院する子の9割以上が点滴が必要となります。
針は小学生に使う針と同じ物を使います。赤ちゃんの血管はとても細く、1000g以下の子だと「血管の太さ=針の太さ」となることもよくあります。なのでとても繊細な手技になります。
点滴はだいたい1-2週間くらいで必要なくなります。

  □人工呼吸器
体が小さかったり、呼吸障害があったりする子は、自力で呼吸を保つことが出来ないことがよくあります。その時に使用されるのが人工呼吸器です。赤ちゃんの喉に直接チューブを挿入して、圧をかけてあげることで呼吸をサポートします。
数日で離脱できる子もいれば、1か月以上必要となる子もいますが、ほとんどの子が1週間くらいで人工呼吸器は終了となります。

  □経鼻的持続陽圧呼吸療法
人工呼吸器よりも赤ちゃんへの負担が少ない管理です。人工呼吸器は喉に直接チューブを入れますが、こちらの治療は鼻にのみフィットするマスクを着けます。鼻の穴からジェット気流を持続的に入れることで、肺にまで圧がかかるようにして、赤ちゃんが呼吸をする時に肺が膨らみやすくなるといった管理です。最近ではこの機械の性能が上がってきたこともあり、人工呼吸管理をする子が減ってきています。赤ちゃんの負担も少ないのでとてもいい管理方法です。

  □光線療法
黄疸の赤ちゃんに使います。そもそも黄疸とは赤ちゃんの血中のビリルビンの値が上昇することで、体が黄色くなることを言います。赤ちゃんはみんな生理的にビリルビンの値が上昇しますが、その中には値が上がりすぎて治療適応になってしまう子もいます。その時に選択される治療が光線療法です。
特殊な光を赤ちゃんに照射するだけの治療です。皮膚表面から光を当てることで、どんどんビリルビンを分解していき、血中濃度を下げていきます。現在はLEDを用いていることも多く、熱を感じることもほとんどなく治療できます。副作用はありません。目に光が入ると良くないので、目隠しは必ず行います。

以上がNICU入院の際によく行われる治療です。参考にしていただければと思います。

~~~赤ちゃんがNICUに入院したご家族へ。~~~
NICUに入院した際、医師からの説明は入院してから2-3時間後(長い時は5時間前後)になり、待ち時間がとても長く、とても不安を感じると思います。少しでもその不安を無くすために、「赤ちゃんは入院後にNICUで何の検査をしているのか?」、「なぜ待ち時間が長くなるのか?」、「検査の順番は?」などの、内容・流れなどを詳しく説明します。良ければ参考にしてください。

退院後はどのように経過を診ていくのか??

退院は、
週数、体重、体重増加、哺乳状況、呼吸状態が退院基準を満たしており、退院しても問題なく成長していけると分かれば、お家に帰ることが出来ます。

退院後に大切になってくるのは、正常に成長・発達しているか確認していくことです。特に、在胎週数35週未満で産まれた子や、低出生体重児の子が対象となってきます。
在胎週数40週前後で出生した子に比べて、運動発達や言語理解などが遅れるリスクが高いと言われていますので、退院後はそれらの遅れがないかを外来で見ていきます。

成長・発達面で少し遅れていたとしても、定期的に外来受診をしていれば早期発見・早期介入ができます。その場合は専門の施設へと紹介となることもありますが、早期からサポートを受けていくことで、遅れを最小限に減らすことが期待できます。

退院後は、1か月健診生後3-4か月生後6か月生後9-10か月生後1年生後1年半と診ていくことが多いですが、重症度によって、1か月毎に診察であったり、数回のみのフォローであったりと変わってきます。

◎まとめ

NICU=「新生児集中治療室」

赤ちゃんの急な入院でとても不安だとは思いますが、プロが適切に管理しています。

NICU退院後のフォローは成長・発達の確認が目的であり、とても大切です。

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