RSウイルスは危険なウイルス??

こんにちは!

今回は身近でよく流行する「RSウイルス」について、詳しく説明していきます。

①RSウイルスとは??

RSウイルスは秋・冬に流行するウイルスです。
ただ、沖縄などの地域では夏ころに流行するなど、場所によっても変わってきます。(最近は少しずつ流行する時期が遅くなっているともいわれています。)

RSウイルスは、子どもから大人まで感染する可能性があり、2歳までにはほぼ100%の人が一度は感染するウイルスと言われています。なのでとても身近に感じるウイルスです。

感染方法は、会話やくしゃみなどによる飛沫感染や、おもちゃなどについたウイルスを手で触ってしまい、それを口に持っていってしまうなどの接触感染などがあります。

②RSウイルスの症状

RSウイルスは大人が感染してもただの風邪です。健康な成人がRSウイルスで重症化することはほとんどありません。
感染してから、約1週間弱程度の潜伏期間を経て症状が出ます。

  □発熱
  □咳・痰・鼻水
  □頭痛

以上が健康な人がかかった時に出る、一般的な症状です。

では、誰が注意すべきなのでしょうか。
それは「1歳以下の子ども、元々持病を持っている子ども」です。
以下の子は注意する必要があります。

  ●1歳以下の子ども(特に早産児)
  ●先天性心疾患のある子
  ●慢性肺疾患のある子
  ●免疫不全のある子
  ●ダウン症の子

この子たちは、RSウイルスによって重症化しやすくなります。また、RSウイルスの特徴として、発症してから数日して症状のピークが来ます。なので、今は軽症でも後々悪くなってくる可能性も大いにあるので、基本的には入院して経過を診るのが安全です。

RSウイルスは時に、細気管支炎、肺炎などに発展し、呼吸障害となり、上手く酸素を取り込めなくなることがあります。その結果、人工呼吸器を数日つけないといけない子もまれにいます。
また、呼吸を止めてしまう「無呼吸発作」や、頭の感染である「急性脳症」なども起こることがあります。

さらには、RSウイルスはとても厄介なウイルスで、症状の改善が他のウイルスと比べて時間がかかります。
呼吸状態が悪くて、入院になった場合も、呼吸状態は良くなってきても、鼻水が大量に出て苦しくて、哺乳がなかなか元に戻らない子もたくさんいます。

2歳までにほぼ全員がかかるウイルスであるのに、重症になる可能性も大いにありえるウイルスなので、甘く見ることが出来ないものです。

③RSウイルスの治療・予防

RSウイルスは名前の通り、ウイルス感染となります。
ウイルス感染は抗生剤は効きません。理由に関しては別の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。

なので、基本的に治療は自分の免疫力に頼るしかありません。

免疫力を高めるためには、子どもだともちろん「食事・水分の摂取」が一番大切です。

ただ、呼吸状態が悪くとても苦しくて食事も水分も全然採れないのであれば、入院して食べれるようになるまで点滴で水分を入れる必要があります。

また、呼吸状態が悪くなると、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)などで呼吸をする手助けをしたり、もっと呼吸状態が悪くなり自分の呼吸では上手く酸素を取り込むことが出来ない場合だと、人工呼吸器での管理が必要になってきます。

では、かからないための予防策はあるのでしょうか??

2歳までにほぼ全員がかかるウイルスなので、予防してもしきれないところは正直あります。特に保育園・幼稚園などで流行するので、通っている子はどうしようもありません。

ただ、少し大きくなった子ですと、もちろんマスクや、手洗い、手指消毒などで予防は可能です。
日ごろから、感染対策を心掛けるようにしましょう。そうすることで別の菌の感染も防ぐことが出来ます。

また、「パリビズマブ(シナジス)」という予防接種があります。ただし、打てる人は限られています。
NICUに入院していたお子さんですと、打っている子も多いと思います。
以下が適応となります。

 ・在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
 ・在胎期間29~35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
 ・過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
 ・24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
 ・24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児,乳児および幼児
 ・24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児,乳児および幼児

適応が色々あり複雑ですが、こちらに関しては、基本的には小児科医が適応があるかないかを教えてくれますので、心配する必要はありません。ただ、適応がある子は、必ず打った方がいいと思います。メリット・デメリットを考えた時に、とても怖いウイルスなので予防はしておいた方がいいです。

④新型コロナウイルスの影響

このブログを書いた令和3年5月時点での印象です。

新型コロナウイルス流行によって、国民全員が感染症の怖さを知り、感染予防に徹底してきました。その影響で冬に流行するはずだったインフルエンザウイルスは全くといっていいほど流行しませんでした。胃腸風邪すら冬に全く流行らず、小児科病棟は冬にもかかわらず、感染症で入院している子は全くといっていいほどいませんでした。

同様にRSウイルスの子も令和2年の年末~令和3の年始まで全く見られませんでした。普段ならこの時期にだいたい流行が終わります。
ただ、今回は令和3年3月、4月頃からRSウイルスが流行してきました。

基本的にRSウイルスの予防接種は、「流行期に毎月1回、リスクのある子が接種する」決まりとなっており、令和3年2月で予防接種終了となっておりましたが、新型コロナウイルスの影響でRSウイルスの流行時期が変わってしまい、現在は予防接種なしで様子を見ています。
幸い私の周りではそこまで重症の子は出ていませんが、別の地域では重症の子が出ているかもと考えるとゾッとします。

他の感染症の流行時期をたった1,2年で変えてしまう新型コロナウイルスはとても怖いウイルスと実感しています。

早く流行がおさまり、予防接種も皆さん受けれる状況になることを心から願っています。

◎まとめ

RSウイルスはリスクがある子には危険なもの!

感染予防が大切です

今後流行時期に変化があるかもしれません

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