「喘鳴=喘息」ではない!じゃあ、喘鳴って?

こんにちは!

今回は「喘鳴(ぜんめい)」について解説していきます。
喘息持ちのお子さんだと、よく聞く言葉だと思います。

喘鳴とは??

喘鳴とは、「呼吸の音の異常」のことを言います。
「熱がある=発熱」というように、
「呼吸音の異常=喘鳴」です。

つまり、
「喘鳴」の中にも様々な種類の「音」があり、
その音によって、考えられる原因が変わってきます。

吸うときに音が聞こえるのか、吐くときに音が聞こえるのか、
これがとても大切になってきます。

「口~気管~肺」を想像してみてください。
(空気の通る順番:口→気管→気管支(気管の枝)→肺胞)

吸うときは口から吸った空気が、
細い気管という管を通り、肺に到達します。
肺には肺胞という無数の小さな風船があるイメージです。

吸うときに呼吸音の異常があるときは、
空気の入り口である、「口~気管」のところが狭くなることで、
空気の通る時の抵抗が増え、音が聞こえます。
一般的に、「上気道の異常」といわれます。

息を吐くときに呼吸音の異常があるときは、
空気で膨らんだ肺胞から空気が出しにくくなり、音が出ます。
「膨らませた風船を手放すと、ぴゅーっと音が鳴るのと同じです」
つまり、肺の中(気管支)の空気の通り道が狭くなり、
息を吐くときに、空気抵抗が増えて、音が出ます。
一般的に、「下気道の異常」といわれます。

次にそれぞれについて説明していきます。

「吸うとき」に喘鳴が聞こえる

これは先ほど説明したとおり、
「口~気管」のところが狭くなる「上気道の異常」です。

口から気管にかけては空気を肺に送る大切な通路です。
ここが詰まってしまうと死に直結します。
緊急を要するものが多いです。

この原因としては、以下のものがあります。

  □クループ(喉頭炎)
喉頭やその周囲に起こる感染症によって、
そこが腫れて、通り道が狭窄します。
そのことで、声がかすれたり、オットセイの「コンッコンッ」
といった咳が聞こえます。
原因は、「パラインフルエンザウイルス」によるものが多い。
(よく聞くインフルエンザウイルスとは全く別のウイルスです!)
アドレナリンの吸入などで、比較的すぐに改善します。

  □急性喉頭蓋炎
とても危険な病気で命に関わります!!
気管の入り口の「ふた」のところになります。
もともと気管と食道はつながっていますが、
食事の際は、誤嚥を起こさないように、
「喉頭蓋」という「ふた」がついています。

この「ふた」が感染症で腫れてしまって、
「常にふたが閉まった状態になってしまう」ことを、
喉頭蓋炎
といいます。ふたが閉まるので、息が出来ません。
原因は、「インフルエンザ桿菌」が多いですが、
「Hibワクチンの定期接種化」により発症率は激減しました。

  □アナフィラキシー
これもとても危険なもので、命に関わります。
特に気管の入り口が腫れてしまい、息がしにくくなります。
ひどいと、そこがふさがってしまい、呼吸が出来なくなります。
緊急対応が必要なので、アレルギー反応で息苦しさがあるときは、
必ず救急車を呼びましょう!

また、「エピペン」を持っている子はすぐに打ちましょう。

  □気道異物
いわゆる「窒息」です。
物が取れないとなくなってしまいます。
すぐに救急車を呼びつつ、「ハイムリック法」も試しましょう。

  □アデノイド
扁桃腺が大きくなることを言います。
「いびき」などの症状も見られます。

  □喉頭軟化症
気管は空気の通り道であり、基本的にはそこが狭くなることはありませんが、
喉頭軟化症は吸う時に陰圧で、「気管の入り口」が凹んでしまい、
空気の通り道が狭くなります。そのことで喘鳴が聞こえることがあります。
ほとんどの子は症状が軽く、成長とともに治りますが、
中には手術が必要な子もいます。

「吐くとき」に喘鳴が聞こえる

これは先ほど説明したとおり、
肺の中(気管支など)が狭くなる「下気道の異常」です。
肺胞から空気を一生懸命出そうとして、音が出ます。
「膨らませた風船を手放すと、ぴゅーっと音が鳴るのと同じです」

この原因としては、以下のものがあります。

  □気管支喘息
これは、肺に空気をためる肺胞の近くにある、気管支という部分が、
細くなることで起こる症状です。
感染症、ストレス、アレルギー反応、気象の変化など
様々な原因よって症状が起こります。

肺胞という「肺の風船」から空気を送り出すときに、
空気抵抗が上がるため、「ゼーゼー、ヒューヒュー」と、
息を吐きずらそうにします。

  □急性気管支炎
これは気管支という空気の通り道の感染症となります。
「気管支炎喘息」と同様に、息が吐きずらくなり、喘鳴が聞こえます。

  □心不全
子どもでは、比較的少ないですが、
もともと心臓病がある子などではたまに起こります。
哺乳量が減り、汗をかきやすくなります。
またお腹を触ると、肝臓も大きくなっています。

  □気管軟化症
気管は空気の通り道なので、常に「筒の形を維持しなければなりません」
しかし、それが維持できないと、狭窄が起こり喘鳴として聞こえます。
気管軟化症とは、「本来硬いはずの筒が、生まれつき柔らかい病気です。」
息を吸うときは、
気管内は空気が通るので、そのパワーの影響もあり気管は広がります。
一方で、息を吐くときは、
気管が柔らかいのでつぶれてしまい、上手く空気が出せません。

それにより喘鳴が起こります。

  □アナフィラキシー
アレルギー反応が重症の場合、
呼気性の喘鳴も認めることがあります。
これもすぐに治療開始しなければ命に関わることがあります。
すぐに救急車を呼びましょう。

まず注意するべきこととは!?

最も大切なことは、
「その子の顔色」、「呼吸回数」、「胸を見て苦しそうかどうか」
となります。

ご家族から見て、

「普段よりもハーハ―していて苦しそう」
「どんどん息が苦しそうになってきている」
「みぞおちのところが息を吸うたびに凹む」

などの症状がある場合は、すぐに小児科に受診しましょう。

また、その症状が、

「その日のうちに急に症状が出てきたのか?」
「数日かけて徐々に症状が重くなってきているのか?」

なども、とても大切な情報になってきますので、
分かる範囲で、小児科医に伝えましょう。

過去に同様の症状で入院したことがあるか?
もともと同じような症状が出たことがあるか?

などは大切な情報なので、伝えましょう。

命に関わる喘鳴もあります!注意を!

呼吸とは生命維持に最も大切なものとなります。
病気によっては命に関わってきます。
以下のものは特に注意が必要です。

・突然発症するもの

  □アナフィラキシー(食事、虫刺され、動物に噛まれたなど)
  □気道異物(誤嚥など)

・徐々に発症するもの

  □急性喉頭蓋炎(気管の入り口がふさがってしまう)

突然発症のものは原因が分かりやすくなります。
特に、アトピーやアレルギーを持っている子は、
アナフィラキシーになりやすい傾向があるので、注意が必要です。

徐々に発症するものでも、
1日でとても重症になることもあります。
症状の進行が早い場合には、特に注意です。

症状から考えられる原因

色々な情報によって考えられる病気も変わってきます。

●年齢

赤ちゃん     :生まれつきの異常(先天奇形)
生後半年~6歳未満:気道異物
小学生以降    :アナフィラキシー、急性喉頭蓋炎、喘息、など

●ワクチン接種

Hibワクチン接種をしていなければ、急性喉頭蓋炎の可能性が上がる

●症状の経過

突然発症  :気道異物、アナフィラキシー、急性喉頭蓋炎など
日内変動あり:気管支喘息は夜中~明け方にひどくなる
発熱がある :クループ、急性喉頭蓋炎、気管支喘息など
発熱がない :気管支喘息、気道異物など
よだれが垂れる、咳が目立たない  :急性喉頭蓋炎
よだれは垂れない、咳(コンッコンッ):クループ

食事、虫刺され、動物と触れ合った後:アナフィラキシー

など様々な原因、発症した状況などによって
考えられるものが変わってきます。
できるだけ丁寧に小児科医に伝えましょう。
緊急性の判断もそこからしていくことになります。

◎まとめ

喘鳴には命に関わる病気も隠れている。

特に大切なことは、症状の進行が早くないかです。

状態がおかしい時は、「迷わず」救急車を呼びましょう!!

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