赤ちゃん:出産について
こんにちは!
今回は、「出産」について小児科医の立場からの詳しく説明していきます。
ぜひ参考にしてください。
もくじ
①出産とは??
出産とは男性の精子と、女性の卵子が受精し、約10月間ほどお母さんのお腹の中で育ち、そして子どもが生まれるという一連の出来事のことで、とても神秘的なものです。
現在は、昔と比較して女性も働く時代となったので、出産する女性の年齢は少しずつ上がっています。どうしても若い時に出産するのと、いわゆる高齢出産をするのとでは、お母さん、そして子どもへのリスクは増えてしまいます。
しかし、現代は医療技術がとても進歩しており、さらに日本では世界トップの医療を受けることが出来ます。なので他国と比べても出産に伴うリスクはだいぶ低くなっています。ただし、出産は本来はとても危険を伴うもので、いくら医療技術が進歩したからといって、危険をゼロにすることはできません。そこをしっかりと理解する必要があります。
今回は出産に関して小児科医の立場からお話していこうと思います。
②一般的な出産までの流れ
おおまかな受精~出産までの流れをお話しします。
妊娠0日:受精
妊娠7日:受精卵が卵管から子宮内に移動し着床します
妊娠8週:「心拍」が確認できます
妊娠12週:「心音」が確認できます
妊娠20週:「胎動」が感じられ始めます
妊娠30週:「肺」が成熟し始めます
妊娠40週:出産
これがおおまかな一連の流れとなります。
とても長い40週もの間、お母さんのお腹の中で安全にすくすくと成長するということは、本当に奇跡に近いことと思っています。
③赤ちゃんが出産してから
出産に関して、多くの方は「子どもが生まれるまで」のことしか、なかなか想像が出来ません。ただ、子どもにとっては、「生まれてから」が人生のスタート地点です。
では、生まれてから赤ちゃんはどのように呼吸を始めるのでしょうか??
「出生後、外の環境に適応するまで」のお話をします。
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中で、40週もの長い間に外で生活をすることが出来るように準備をしていきます。まずは、人間にとても大切な、心臓、脳、肺を中心に成熟させていきます。
そして、いざ出産の時!!
お母さんの「陣痛」が、赤ちゃんにとって「もうすぐ外の世界に出るよ」の合図となります。その「陣痛」の刺激がとても大切になります。
そして長い陣痛の末に、赤ちゃんは産道を通り生まれてきます。
そして「おぎゃー」と泣き始めます。それと同時に呼吸を始めます。
お母さんのお腹の中では、赤ちゃんは羊水に包まれていて、肺も水浸しの状態になっています。その後、生まれて泣き始めてすぐに肺の中の水は、どんどん肺に吸収されていきます。そして肺の水が無くなると、肺にいっぱいの空気を吸うことが出来ます。
「呼吸」が成立したら、次は「循環」を成立させなければ生きていけません。「循環」とは呼吸によって体内に取り込んだ「酸素」を全身に運んで細胞に取り込ませることです。
お母さんのお腹の中では、胎盤を通じて、臍帯(へそ)でつながっていて、そこから「栄養」「酸素」などをもらっています。しかし出生後は、おへそを切るので栄養も酸素も途絶えてしまいます。なので、自分でしっかりと呼吸をして、循環をさせないといけません。
生まれたては、酸素不足で体は青白いですが、泣いて酸素を取り込むことによって体中に酸素が巡り、どんどん「赤ちゃん」という名前の通り、体は赤くなっていきます。
そこまで順調にできれば、ようやく外の世界に適応できたと判断します。
ここまで長々お話ししいましたが、この流れを赤ちゃんは「約10分以内」にやり遂げてしまうので、とても生命力を感じます。もちろん中には、適応が上手にいかない子もいますが、そこは小児科医がしっかりとフォローして、適応できるよう努めています。
「生まれた時に起こるかもしれないこと」に関しては別のところでお話しするので、
こちらを参考にしてください。
④いつ性別が分かりますか?
ご両親がとても気になることと思います。
基本的には、「14週以降に分かる」といわれています。
確認は、「超音波検査」で行っていきます。
男の子は、14週頃になると、「ちんちん」が見られます。これが見られれば男の子かなと判断します。
女の子は、17週頃になると、外性器が映るようになるので、女の子かなと判断します。
ただし、赤ちゃんの体勢によってはエコーでは見えにくいこともあります。その結果なかなか分からない場合もあります。施設によっては、性別を直前まで伝えない施設もありますので、事前に確認しておきましょう。
また、稀ではありますが、先天的な病気で外陰部の見た目と、実際の性別が異なる、性染色体異常の病気もあります。その場合、別の異常も見られることが多いので、気になる症状があるときは小児科医に相談しましょう。
⑤赤ちゃんの胎動はいつから感じますか?
先ほど、「胎動」を感じる時期について少し説明しましたが、ここでは詳しくお話しします。
胎動は、早い方で「妊娠20週」頃から、遅くても「妊娠30週」までには感じることがほとんどです。
赤ちゃんは羊水の中にプカプカ浮かんでいますが、そこで手足を動かすことで、お母さんは「胎動」を感じます。
初めは順調に胎動を感じていたが、最近は胎動が少なくなってきた、と心配されるお母さんもいると思いますが、赤ちゃんはいつも元気に手足をバタバタさせているわけでもないので、そういう日もあるのはごく自然なことです。
しかし、心配を抱えながら過ごすのは、お母さんにとってもストレスですし、赤ちゃんにとってもストレスなので、その時は一度産婦人科で相談しましょう。エコーで元気な姿を確認すれば、心配もなくなると思いますので、遠慮せずに受診しましょう!!
④妊娠中、薬は飲んでもいいですか?
薬に関しての相談はとてもよく受けます。
ここで大切になってくることは、
・「薬を飲む時期」
・「薬の効果が赤ちゃんにも影響するのか、安全なのか」
・「母にとってどのくらい重要な薬なのか」
ここがポイントになってきます。
・「薬を飲む時期」
一般的に、赤ちゃんに最も影響を及ぼすのは、「器官形成期」です。特に「妊娠4週~12週」です。
これは大事な臓器がどんどん作られていく時期に当たります。このときは細胞分裂がとても盛んに行われているため、薬の影響があると「奇形」などの先天異常を起こしてしまうリスクがあります。なのでこの時期は基本的には薬はやめておいた方がいいと思われます。(タバコ、酒もとてもリスクが高くなります。注意しましょう。)
・「薬の効果が赤ちゃんにもいくのか、安全なのか」
ここはとても議論の分かれるところです。参考にする資料によっても書いてあることは違います。薬の添付文書などを読むと、ほとんどが「リスクがあるのでなるべく避けましょう」と書いてあります。ただ、実際は意外と「安全に飲めます」といった薬は多いです(もちろんダメな薬も多いです)。薬を処方してもらうときは、妊娠していることを必ず医者に伝え、安全性に関して確認しましょう。
・「母にとってどのくらい重要な薬なのか」
赤ちゃんを出産まで育てるのは母体です。なので、母体の異常は直接赤ちゃんに伝わってしまいます。これを飲まないと病気が悪化してしまうといった、「大切な薬」の場合は飲むほかありません。そこで体調を崩しても赤ちゃんに悪い影響しかありません。もちろん精神科などで処方されている薬に関しても同じです。ただし、これに関しても、事前に薬を処方してくださる先生や、産婦人科の先生にはしっかりと相談していくことが大切です。
必要に応じて、大きい病院で産んだ方が安全だと判断されることもありますので、必ず事前に相談しましょう。
◎まとめ
「出産」で元気に生まれてきてくれることは、奇跡的なことです!
赤ちゃんの中には、出生後つまずく子もいますが、その時は小児科医が対応します!
お母さんが元気なことが、赤ちゃんにとってとても大切なことです。
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