食物アレルギー:食物経口負荷試験とは
こんにちは!
今回は「食物アレルギー」について、
是非ご家族に知っていただきたい情報を、
載せていきます(特に食物アレルギーでお悩みのご家族へ)。
どうぞ参考にしてください。
①食物経口負荷試験とは何か??
アレルギーが「確定している」or「疑われている」食物を接種することで、アレルギー症状が出るかを確認する検査です。
ですので、以下のことを目的とします。
1.原因食物の確定診断
(特異的IgE抗体検査や皮膚検査でアレルギーが疑われる時に、実際に症状が出るかを確認する。)
2.安全に摂取できる量の決定や、耐性獲得の診断
(どの量なら安全に摂取できるのか徐々に量を増やして確認していく)
(耐性獲得:原因食物が年齢とともに摂取できるようになること)
②食物経口負荷試験は実際どうやっているのか??
まずは、
「問診」「特異的IgE抗体検査・皮膚試験」の結果に基づき、どの程度負荷するかを決めていきます。
ハイリスクの子は少量から始めていき、徐々に増やせるかを確認していきます。どの量から始めるかに関しては、医師の判断に基づいて決めていきます。
以下の表は総負荷量の例となります。
少量 | 中等量 | 日常摂取量 | |
鶏卵 | 加熱卵黄1個 加熱全卵1/32個相当 | 加熱全卵1/8~1/2個相当 | 加熱全卵50g(1個) |
牛乳 | 3ml | 15~50ml | 200ml |
小麦 | うどん2~3g | うどん15~50g | うどん200g 6枚切り食パン1枚 |
このようにまずは「摂取する量」を決定します。
次にどのように食べるかを医師は判断します。
つまり、何分割して摂取するかを決めます。
方法例 | 摂取間隔 | 分割方法 |
単回 | 1/1 | |
2回 | 60分 | 1/4→3/4、1/3→2/3 |
3回 | 30~60分 | 1/8→3/8→1/2 |
5回 | 20~40分 | 1/16→1/16→1/8→1/4→1/2 |
ハイリスクの子ほど、分割して時間をかけて慎重に食べさせていきます。
もちろんアナフィラキシーになる可能性もあるので、病院で様子を見ながら行っていきます。午前中やお昼から、日帰り入院で行うところが多いです。
③食物経口負荷試験に基づく食事指導
総負荷量 | 結果 | 方針 |
「少量」 | 陽性(症状あり) | 完全除去 |
陰性(症状なし) | 「少量」までの摂取を継続する 決して、「少量」を超えない | |
「中等量」 | 陽性 | 「負荷量」と「症状の程度」から、 「食べられる範囲」を決めて、その量を継続する |
陰性 | 「中等量」までの摂取を継続する 決して、「中等量」を超えない | |
「日常摂取量」 | 陽性 | 「負荷量」と「症状の程度」から、 「食べられる範囲」を決めて、その量を継続する |
陰性 | 除去解除 |
●「陽性」の場合:
「アレルギー症状が出た」という意味。
「少量」で「陽性」となった場合は、原因食物に対して体が過剰に反応してしまう状態なので、それは完全除去しなければなりません。
「少量」は問題なく、「中等量」で「陽性」となった場合は、少量~中等量のどこまでの量が安全に食べられるかを確認して、「食べられる範囲」で原因食物を続けていきます。
6か月~1年後に、再度同じ量の経口負荷試験をチャレンジして、食べれるかを確認します。
●「陰性」の場合:
「アレルギー症状が出なかった」という意味。
「少量」なら「少量」を、「中等量」なら「中等量」を今後家で継続して食べてもらいます。家でも症状が出なければ、「少量→中等量」、「中等量→日常摂取量」と次の段階を試していきます(経口負荷試験を行う)。
(ただし、体調が悪い時に原因食物を食べると、普段は出ないアレルギー症状が出ることがあります。体調不良の時は食べるのか、その日は食べずにスキップするのか、事前に担当の先生と対応を相談しておきましょう!!)
また、家で少しずつ量を増やしていくことはとても危険なので、行ってはいけません。少し増やしただけでも、アナフィラキシー症状が起こることがあります。病院なら緊急対応できますが、ご自宅では出来ません。(アナフィラキシーとは??)
食べたことのない量は、医療機関で負荷試験を行い、安全性を確認する。これが基本です。
●除去解除:
定期的に負荷試験を行うことで、徐々に「食べられる範囲」が広がっていきます。最終的に「日常摂取量」を食べて何も症状がなければ「除去解除」となります。
「体調不良、食後の運動、入浴」などを行っても、全く症状が出なければ、ご自宅以外の外食とかでも除去解除となります。
④経口免疫療法をご存じですか??
これは現在研究段階の治療法です。
簡単に言うと、
「自然経過では早期に耐性獲得(原因食物を食べても症状が出ない状態)が出来ない子に対して、まずは症状が出ない量から始めて、連日徐々に量を増加していく方法です」(イメージ:何回も食べさせて慣れさせる方法)
量を徐々に増やしていくので、あるところで必ず症状が出ます。しかし、それでも摂取を続けていくと、「脱感作」という状態になります。これは、原因食物を摂取しても症状が出ないことを言います。
「脱感作」の状態になったら、2週間ほど原因食物の摂取を中断します。そして2週間後に再度原因食物を摂取します。そこでアレルギー症状が出なければ、耐性が少しずつ獲得されていると考えられます。(もちろんアレルギー症状が出ることもあります。)
これを継続していき、最終的に完全な耐性獲得を目指します。
※中には、全然症状が改善せずに中断となる子もいます。
簡単にまとめると、
経口負荷試験→食べられる範囲を超えない
経口免疫療法→食べられる範囲をあえて超えていく
◎まとめ
経口負荷試験で診断や、安全な量を決めます
完全に食べれるようになるまでは時間がかかります
経口免疫療法も導入されています
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