「低身長」は早めに病院へ!!
こんにちは!
今回は「低身長」で受診すべきかどうかについて、
診察の際によく聞かれるフレーズをもとに解説していきます。
①「低身長」の基準は??
低身長かどうかを判断するために、
「標準偏差」というものを使います。
これは、男女別で体重・身長のデータをたくさん集めて、
その平均を出したものです。
平均を「0」として、
その平均からどれだけ外れているかで判断していきます。
平均より大きければ「+1.0SD、+2.0SD、…」となり、
平均より小さければ「-1.0SD、-2.0SD、…」となります。
「-2.0SD」~「+2.0SD」の中に、約95%の子どもが含まれます。
定義では、「-2.0SD」よりも低ければ、
「低身長」と判断していきます。
②「低身長」の原因は??
低身長の原因はとてもたくさんあります。
原因を分類して説明していきます。
●低身長だが、他の異常がない
□家族性低身長
お父さん、お母さんの身長が低く、その子の最終身長も低い。
検査でも特に異常はなく、発達は問題ありません。
□体質性低身長
赤ちゃんの時から成長速度が遅め。
思春期が来るのも遅れるが、最終身長は平均まで伸びることが多い。
お父さん、お母さんも思春期到来が遅いことが多いです。
□SGA低身長
出生時の身長、体重の標準偏差が、平均よりも大きく外れている時に、
診断される。SGA(small for gestational age)は出生時に診断されます。
多くは2歳までには平均まで戻ってくるが、
約10%の子は、平均に戻らないことがあります。
この場合は治療を検討していきます。
●内分泌異常がある低身長
□甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが生まれつき足りていない状態です。
甲状腺ホルモンは「人のエネルギーの源」です。
このホルモンが少ないと、身長も低くなり、
知的障害にもなる可能性があります。
早期から適切に治療していく必要があります。
□成長ホルモン分泌不全性低身長症
成長ホルモンは名前の通り、成長を促すホルモンです。
これが足りていないと、身長はなかなか伸びません。
低身長の原因の約10%が、これにあたります。
成長ホルモンの分泌が悪くなる原因も様々あります。
これについては、こちらを参考にしてください。
(こちらをクリック)
□思春期早発症
思春期がみんなよりも早く来ることにより、
一時的に身長が急に伸びます。
しかし、その後の身長の伸びは止まってしまうため、
最終身長は平均よりも低くなってしまいます。
ですので、思春期到来を遅らせる必要があります。
これに関しては、こちらの記事を参考にしてください。
(男の子はこちらをクリック)
(女の子はこちらをクリック)
□Ca(カルシウム)、P(リン)代謝異常
Ca、Pは骨の形成にかかわってくるものです。
Ca、Pの代謝異常があると、上手く骨も形成されず、
身長も伸びません。
□クッシング症候群
副腎で生成される「コルチコステロイド」が過剰に分泌される病気で、
原因としては、頭の中の腫瘍、副腎腫瘍などがあります。
●染色体・遺伝子異常
□ターナー症候群
女の子の2本のX染色体の片方が、
部分的または完全に欠失した性染色体異常です。
特徴としては、
「低身長」「翼状頸」「漏斗胸」「外反肘」
などがあります。
□Prader-Willi症候群
性染色体異常によるもので、
「低身長」「アーモンド様の目」「肥満」「筋緊張低下」
など様々な症状が見られます。
□ヌーナン症候群
1000人~2500人の割合で生まれ、
親からの遺伝の場合もあれば、そうでない場合もあります。
「低身長」「特徴的な顔貌(目が離れているなど)」「難聴」
「停留精巣」「心疾患」
など様々な症状が見られます。
染色体検査は正常であり、遺伝子検査で異常が分かります。
●二次性低身長(何か別の原因によるもの)
□低栄養
食物アレルギーやアトピーの対策として、
過度な食事制限をすると低栄養になり、低身長になります。
アレルギーに関しては、過度な食事制限は今は推奨されていません。
□薬剤性低身長
特に「ステロイド」を長期間使っている子で起こりやすいです。
ステロイドには、成長ホルモンの分泌を妨げる作用があり、
その影響で低身長なります。
短期間のステロイド使用では低身長になることはありません。
□膠原病
若年性関節リウマチなど骨などに影響が出る場合、
炎症などが強いと成長に影響が出ることがあります。
□腎疾患
慢性腎疾患や尿細管性アシドーシスなどが低身長の原因になります。
慢性腎臓病では、Ca、Pなどのミネラルバランスが大きく乱れ、
また栄養摂取障害も来します。
さらに、成長ホルモンの相対的な欠乏状態にもなるため、
低身長を来します。
□心理状態(愛情やストレス)などの環境要因
家族からの愛情が得られず精神的ストレスが大きいと、
成長ホルモンの分泌低下が起こり、
さらに睡眠障害や食欲低下による栄養障害が起こり、
低身長の原因となります。
③検査や治療適応は??
今まで述べてきたように、
「低身長」の原因として色々な可能性があります。
なので、「低身長」が分かった時点で、
一度小児科に受診するべきです。
検査をして、原因によっては治療で身長が伸びる可能性もあります。
「低身長」の検査・治療はこちら参考にしてください。
(こちらをクリック)
◎まとめ
低身長は「標準偏差」で「-2.0SD以下」のこと
低身長の原因はたくさんある
低身長でも、適切な治療で身長が伸びる可能性も!!
~ご相談の時は~ こちらをクリック
メールでご相談を受け付けています。
24時間、365日OKです。
(登録料も、相談料もありません)
“「低身長」は早めに病院へ!!” に対して1件のコメントがあります。