6歳以上の下痢は受診するべき!?

こんにちは!

今回は「6歳以上の下痢」で受診すべきかどうかについて、
診察の際によく聞かれるフレーズをもとに解説していきます。

①何が原因のことが多いですか?

もちろん最も多いのは、
「感染症」によるものです。

しかし、この年齢からみられるようになるものもあります。
以下のものに注意しましょう。

1.急に起こるもの(急性下痢症)

  □溶血性尿毒症症候群(HUS)
  □甲状腺機能亢進症
  □虫垂炎(もう腸)
  □抗生剤の使用

2.慢性的に起こるもの(慢性下痢症)

  □炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎など)
  □過敏性腸症候群
  □下剤の使用
  □Addison病(アジソン病)

などがあります。

では、それぞれ簡単に説明していきます。

溶血性尿毒症症候群(HUS)

これは「大腸菌」によって引き起こされる病気です。
大腸菌にもいろいろな種類があり、ほとんどが「無害」です。
たまに、「有害」なものがあり、例えば有名な「O157」があります。
これは、「腸管出血性大腸菌」といい、人の腸管に対して、
「ベロ毒素」という毒を出して攻撃します。
そして、その名の通り、腸から出血します。
その結果、溶血性尿毒症症候群(HUS)になります。
症状としては、「発熱」「下痢」「腹痛」「血便」「尿が出ない」
など様々な症状になります。
焼き肉(特に生焼け)を食べたかもと思うときは特に注意しましょう!

甲状腺機能亢進症

「バセドウ病」が有名です。
心拍数が上がる、汗っかき、なかなか寝れない、体重が減る、下痢
などの症状があります。
他にも、「風邪にかかった後」「薬」などが原因で発症することもあります。

虫垂炎(もう腸)抗生剤の使用は別で説明しているので、
そちらを参考にしてください。(こちらをクリック)

では次に、慢性下痢症についてです。
こちらの方が、困っている方が多いと思います。

炎症性腸疾患

「クローン病」、「潰瘍性大腸炎」があります。
特に、中高生~30歳で見つかることが多い病気です。
どちらも、「腹痛」「下痢」「血便」がみられます。
必ず、病院での治療を必要とするので、
当てはまる場合はすぐに受診しましょう。

過敏性腸症候群

これは意外と多い病気となります。
病気といっても、検査しても何も見つからないため、
困っている人が多いものとなります。

「ストレス」「不安」が原因で腸に影響し、
腹痛が出現するといわれています。

症状は様々で、便秘・下痢などどちらにもなりますが、
「腹痛」は必ずあります。
長期間「便秘や下痢」で悩んでいる人は、一度病院に受診しましょう。

下剤の使用

特に「思春期」に多くなります。
原因は、摂食障害(過食症・拒食症)です。
これは特に、最近のお子さんに多い病気です。
周りからの見た目を気にして、痩せることに夢中になります。
いつしか痩せることが使命となり、痩せるためならと、
過度な運動をしたり、下剤を飲んだりと、エスカレートしていきます。

特に、真面目な、努力家のお子さんがなりやすいです。
これは、ご家族のサポートのみではなかなか改善されないので、
一度小児科に受診しましょう。適切なサポートを受けれます。

Addison病(アジソン病)

これはとても稀な病気です。
ステロイドホルモンという、
「身体を維持するためのとても重要な働きをしているホルモン」が
不足しているため起こるものです。
つまり、身体を維持できなくなり、いろいろな症状が起こります。
「下痢」もありますし、疲れる、落ち込むなどもあります。
ステロイドを薬で補充する必要があるので、病院に通院する必要があります。

以上、少し細かい内容になってしまいましたが、
気になる点があれば、病院に一度受診してみましょう。
早期発見が、早期治療につながります。

②何に注意すればいいですか?

小さい子では、「脱水」に注意が必要ですが、
この歳になると、下痢があっても、意外と水分は採れます。

体が大きくなる分、水分も蓄えやすくなり、「余力」が出てきます。

受診の基準は、「下痢」に加えて、
「高熱」「下血」「嘔吐」などがあれば、受診しましょう。

特に、「高熱」や「嘔吐」は急激に水分が体から出ていくので、
脱水症状に陥りやすいです。
以下は、脱水かどうかが分かる簡単なポイントです。

  □唇が乾燥していないか
  □肌が乾燥していないか
  □涙は出るのか
  □おしっこは出ているか

これらがあるときは、すぐに受診しましょう。

「下血」は、O157などの怖い病気のほかにも、
クローン病や、潰瘍性大腸炎の可能性も出てきますので、
一度病院へ受診しましょう。
「下血」は明らかな異常です!!

③家族に下痢をしている人がいます。

これは明らかに「感染症」のパターンです。

例えば、

「焼き肉屋に行った。」
「みんなでBBQをした。」
「低温調理した肉を食べた。」
「刺身・寿司を食べた。」
「生ガキを食べた。」
「昨日のシチューを少し温めて食べた。」
「子どもが吐いたものを処理した。」

これらは、よく聞くフレーズです。
これに当てはまる場合は、何らかの菌に感染しています。
ノロ、ロタ、ウェルシュ菌、などなど様々な菌があります。

下痢がちょっとで落ち着いている時は家で様子をみれますが、
少しでもしんどいと感じたら、病院に連れて行くようにしましょう。

点滴1本入れるだけでも、全く楽さが違います。
我慢せずに受診しましょう。

◎まとめ

大きくなると、下痢になる原因も変わってきます。

なかなか治らない下痢は、一度病院へ受診しましょう。

また下痢以外の症状がみられるときも、一度検査してもらいましょう。

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