思春期の悩み(男子):まだ小さいのに陰毛!?思春期早発症!?

こんにちは!

今回は思春期ならではの悩みについて説明していきます。
テーマは「他の子よりも思春期が早くくる、思春期早発症(男子)」についてです。

①思春期までの男の子の一般的な成長

男子の平均的な成長についてです。
いわゆる、「二次性徴」といい、
性的に成熟する過程で男女の形態の差を生じる現象といわれています。

10~11歳:精巣・陰茎の発達

12~13歳:陰毛発生

13~14歳:身長増加、精巣・陰茎は発育がさらに加速

14~15歳:声変わり、腋毛、ひげ

個人差はありますが、ほとんどの子が、
この年齢で、この順番で成長していきます。

また、Tanner分類(タナ―分類)といって、
「思春期の二次性徴の成熟度を評価するための尺度」も使われます。
男子では「陰部の評価」で分類をします。

Tanner分類(男子):

1度:陰毛なし。

2度:陰茎はやや大きく、陰嚢は大きくなり赤みを帯びてきて、
   柔らかく細い陰毛がまばらに見られる。
   (←ここが思春期発来の時期!!

3度:陰茎・陰嚢はさらに大きくなり、精巣も大きくなる。
   陰毛の量も多くなり、硬くてカールし始める。

4度:陰茎は長く・太くなる。亀頭も成長し、陰嚢の色も黒っぽくなる。
   陰毛の量はさらに多くなる。

5度:陰茎・陰嚢は十分に発育し、陰毛は太ももまではえる。

ここら辺の分類は、
日ごろ見慣れている小児科医に行ってもらうと正確です。

②ホルモンの影響により、思春期がきます。

少し細かい内容になりますが、
なるべく簡単に、分かりやすくホルモンについて説明します。

ホルモンは以下の順序で作られます。

視床下部(頭の中):GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が作られ、
         下垂体を刺激する。
→ 下垂体(頭の中):刺激でLH(黄体ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)
          が放出される。
          これらが、精巣・卵巣を刺激する。
→ 精巣・卵巣:男児は、男性ホルモン(テストステロン)が、
        女児は、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が、
        作られ、二次性徴などが始まる。
        

③思春期が早く来る病気(思春期早発症)とは??

うちの子は他の子と比べて、
「男性化」が早いと思われるときは、
「思春期早発症」の可能性があります。

以下のポイントに当てはまるときは、可能性があります。

男児:
9歳未満 精巣(たまたま)が発育する
10歳未満:陰毛がはえる
11歳未満:腋毛、ひげがはえる、声変わりする

当てはまる場合は、「思春期早発症」の可能性があるので、
一度小児科へ受診しましょう。

④何が問題となるのか??

思春期とは、体が最も成長する時期となります。

では、他の子よりも思春期が早く来て、
何が問題となるのでしょうか?

1:最終身長が低くなる

他の子よりも思春期が早く来ることで、クラスの中で急に身長が伸び、
一時的に背の順が後ろの方になります。
しかし、その分早い段階で体が完成してしまうので、
小柄のままで身長が止まってしまい、最終的には他の子に背が抜かされます。

2:心理的問題

早い段階で、「男性化」が起こるので、
他の子と比べて自分が違うという意識が芽生え、戸惑ってしまうことがある。
恥ずかしいという感情が生まれます。

3:病気の存在

この思春期早発症の原因が、男性ホルモンを分泌させる病気のせいかもしれない。
例えば、腫瘍などがあります。

⑤何が原因なのか?

「男性化」はテストステロン(男性ホルモン)によっておこり、
思春期早発症では、テストステロンが早期から多く分泌することで起こる。

1つ目の原因としては、
頭の中でGnRHが大量に作られ、その結果テストステロンが多量に作られる。
GnRHは頭の中で作られるため、それが大量に作られるということは、
何か頭の病気が隠れていることがあります。
もちろん、たまたまGnRHがたくさん作られる子もいます。

2つ目の原因としては、
hCGといい、精巣に直接作用して、テストステロンを作らせるホルモンが、
大量に作られます。
hCGは体のどこかに腫瘍があるときに作られることが多いです。

つまり、何か別の病気も隠れている可能性があるので、
一度小児科に受診しましょう。

⑤どのような検査で診断するの??

頭のMRI:
脳腫瘍がないか、他にも病気が隠れていないかを確認します。

手のレントゲン:
骨年齢を調べます。
骨年齢は骨の作られ具合で、だいたいの年齢が分かるものです。
これはホルモンの影響を直接受けて、それに応じて変化をしていきます。
実際の年齢は若いけど、骨年齢はもっと年上の場合、
年齢の割にホルモンが大量に出ていると考えられ、思春期早発症の可能性があります。

お腹の検査:
男性ホルモン分泌を促す、腫瘍がないかの確認をします。

採血検査:
実際男性ホルモンなどがどの程度出ているのかを確認します。
他にも、血液のバランスなどもみていきます。

⑥どのような治療をするの??

思春期早発症は「思春期が早く来る病気」なので、
思春期を遅らせる治療をします。

まず、頭や体の中に腫瘍などの、原因がはっきりするものに関しては、
それを取り除くという治療をしていきます。
そうすることで、治すことが出来ます。

明らかな原因がない時の治療としては、
「注射」でテストステロン(男性ホルモン)を減らす治療をします。
注射は基本的に、「4週間に1回」のものとなります。

早期治療をすればするほど、早く思春期を止めることができ、
最終身長が伸びることが期待されます。

注射治療は、女性よりも男性の方が身長に対する影響が大きく、
目標身長よりも、10cmほど伸びたお子さんもいます。
(女の子の場合は身長の伸びはイマイチです、、、)

※目標身長の計算方法
男児:(父の身長+母の身長+13)÷2+2
女児:(父の身長+母の身長-13)÷2+2

◎まとめ

思春期早発症は早く気付く必要があります。

早く治療介入すればするだけ、その子へのメリットが大きくなる。

少しでも疑われ時は、すぐに小児科に行きましょう。

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