6歳以上の腹痛は大丈夫!?
こんにちは!
今回は「6歳以上の腹痛」で受診すべきかどうかについて、
診察の際によく聞かれるフレーズをもとに解説していきます。
①何が原因ですか?(6歳~12歳未満)
6歳以上になると、便秘による腹痛は比較的少なくなってきます。
もちろん便秘でお腹が痛くなりやすい子は中にはいますが、
運動習慣もついてくるので、赤ちゃんの時よりも便通は比較的よくなります。
この頃多くなってくるのが、感染による腹痛です。
つまり腸炎です。
腸炎といっても、いろんなばい菌が原因となります。
①ウイルスによるもの
(最も多い。ノロウイルス、ロタウイルスも含まれる)
②細菌によるもの
(いわゆる食中毒:サルモネラ、カンピロバクター、O-157など)
ウイルスの場合は、しっかりと食事・水分を採ることで自然と治っていきます。
(抗生剤は効きません)
細菌感染の場合は、抗生剤を使わないといけないもの、あまり使わない方がいいもの、
などがあります。
細菌感染だと、比較的症状が重いものが多いので、病院受診した方がいいです。
「では、どのように見分けることが出来るでしょうか。」
実際は小児科医でも、診察しただけでは、ウイルスなのか、細菌なのかは分かりません。
(直近で、焼き肉を食べた、生卵を食べたなど、はっきりとした病歴があれば、判断はしやすいです。)
結局採血や、便培養という特殊な検査をして判断することになります。
なので、ご家庭でできることとしては、
「症状がひどくて、食事・水分がとれない。脱水が心配。」なら病院受診。
これに尽きます。
症状が重ければ、細菌感染のリスクが上がりますので、気になるときは早め早めの受診を。
他には、
虫垂炎があります。
これは、他の投稿で詳しく説明しているので、参考にしてください。(こちらをクリック)
疑わしいものとしては、
□最初は、みぞおち付近が気持ち悪かったり、痛かったりしていた。
□その後徐々に、お腹の右下に痛みが移動してきた。
□痛みの強さに波はなく、ある一定の痛みがずっと続く。(特に右下腹部)
他には、「発熱」、「嘔吐」などの症状も一緒に見られることが多いので、
それらがあるときは、病院へ受診しましょう。
早期発見が、手術回避につながります。
②何が原因ですか?(12歳以上)
この頃になると、
「精巣捻転」、「卵巣捻転」の可能性も出てきます。
簡単に説明すると、「体の中でグルっと一回転して、血流が行かなくなってしまう」病気です。
精巣捻転の場合だと、特に精巣が急に成長する「思春期」に起こりやすいです。
「精巣捻転」も「卵巣捻転」もほぼ確実に手術が必要になります。
早く発見できれば、取らなくて済みますが、遅くなると、切除しなければならない可能性が出てきます。
では、何に注意したらいいでしょうか。
これらは、本当に突然起こるもので、とても強い痛みが、ずーっと続きます。
痛んで、少し良くなって、また痛む、などの「痛みの波」はありません。
□急に来る下腹部の痛み
□痛みに波はなく、ずっと続く痛み
□男の子は陰部に痛みがある
これがあるときは緊急性があるので、至急病院へ受診しましょう。
また、稀ではありますが、
糖尿病性ケトアシドーシスというものもあります。
これは糖尿病が主な原因となるもので、
ケトン体という物質が体内で増えて、
気持ち悪くて吐いてしまったり、腹痛が出たり、少しぼーっとしたりします。
胃腸炎などと症状は似ていますが、
「たくさん飲んで、たくさん尿が出る」というところが、
全く違う点となっています。胃腸炎の時はなかなか飲めませんもんね。
今まで、糖尿病と言われていない人も発症する可能性があります。
劇症1型糖尿病といいます。
これは危険な病気で、急速に意識がぼーっとなり、昏睡に至るため、
至急病院にいかなければならないものです。
腹痛があり、意識が少しぼーっとしている、は注意のサインです。
③食中毒かも・・・、でも変なものを食べた覚えがない。
冬にカキを食べた→ノロウイルス
春~夏に流行する→ロタウイルス
と予想がしやすいです。
しかし、これ以外にも様々なもので食中毒を起こす可能性があります。
よくあるのは、
「腹痛、発熱、下痢、嘔吐などはあるが、
生ものや、生焼け肉などを食べた覚えはありません。」
と言われることです。
理由としては、
あまり知られていないところから感染する可能性があるからです。
例えば、サルモネラだと、
生焼け肉や、卵から感染するというのは有名です。
生肉を触った手でお皿を触ると感染リスクが上がります。
自宅で低温調理したお肉を食べて感染したお子さんも見たことあります。
生卵は、殻にサルモネラ菌が付いており、割った後少し時間が経つと、
殻に付着していたサルモネラが急速に増えて感染リスクが上がるともいわれています。
他にも、「犬・猫・カメ」などのペットにも生息していたり、河川・下水にも生息しています。
ペットとの触れ合いで感染したり、川遊びで感染する子もいます。
他にもカンピロバクターだと、
鶏肉、生レバーなどの肉類を食べることで感染することは有名です。
そもそもカンピロバクターは動物の腸管内のみに生息していると言われています。
もちろんペットにも生息しています。
なので、生肉を食べていなくても、ペットを飼っているご家庭だと、
知らないうちに感染することもあります。
カンピロバクターで怖いことは、
ギラン・バレーという病気に発展していく可能性があります。
両手足に力が入らなくなり、急速にまひが全身に広がり、
重症になると呼吸困難になることもあります。
(ここまでなることはほとんどありませんが、注意を。)
このように、食中毒にもいろいろと種類があり、
気が付かないうちに感染していることがよくあります。
中には怖い感染も隠れているので、
疑わしい時は、一度先生に診てもらいましょう。
◎まとめ
6歳以上の腹痛は、重症な病気も隠れていることがあります。
しっかりとお子さんの訴えを聞き、心配な時は病院に受診しましょう。
食中毒は知らないうちになることも多いです。
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