6歳以上の子どもの熱

こんにちは!

今回は「6歳以上の子どもの熱」で受診すべきかどうかについて、
診察の際によく聞かれるフレーズをもとに解説していきます。


①昨日から熱が出ました。体調はそこまで悪くないです。

体調が悪くなければ、家で様子を見てもいいと思います。

6歳以上になると、もちろん免疫力は確立されており、予防接種も終わりに近づいてきます。
つまり、重症の感染症にかかることは稀です。

以下の時に受診するようにしましょう。

  □食事がほとんど採れない。
  □水分を採っても吐いてしまう。
  □下痢がずっと続き、脱水が心配。
  □熱以外に、頭痛・のどの痛み・腹痛などの症状がある。

この歳になると、薬がきちんと飲めるようになります。

入院しなくても、感染症があれば、口から抗生剤をきちんと飲むことができ、
痛み止めもきちんと飲むことが出来ます。

こうすることで、早期から治療を正確に開始することが出来ます。

6歳未満と、6歳以上では大きな違いであり、
6歳以上の子は、薬をきちんと飲めるので、入院率はとても下がります。

一般の総合病院の感染症の入院率も、
6歳未満:6歳以上では、8:2くらいの印象です。

また、一つだけ注意していただきたいのが、
思春期に入ると、「我慢」を覚えることです。

我慢強いタイプの子は、本当に重症になってから、
ご家族が症状に気が付くことが、よくあります。特に中学生以上に!!

まずはしっかりと、食事・水分が採れているか、日常の変化に気が付きましょう。
感染症がひどくなる時は、必ず食欲から変化が出てきます。

②熱の原因は何が多いですか??

なんといっても、気道感染症が多いです。特にウイルスによる。

ウイルス感染症は、抗生剤は効かないので、自分の免疫力で治す必要があります。

つまり食事・水分をしっかり採り、よく寝ることで治っていきます。

ウイルス感染症は一般的に、全身に症状が出ます

「3日前から喉の痛み、2日前から熱、昨日から下痢になりました」など、
全身の症状を訴える場合、たいていウイルスによる感染が多いです。

ほとんどの場合、3-4日で治るので、

それまでは「ちゃんと食べて、ちゃんと寝る」を心がけましょう!!

それが出来ない時は、病院に受診しましょう。(症状がひどい時も受診しましょう。)

では、「原因のウイルスは??」
これはよく分からないことがほとんどです。

ウイルスはこの世の中に無数に存在します。
インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、コロナウイルス、・・・
これらはよく聞く有名ウイルスで、迅速検査などもあるため、診断がつきやすいです。

しかし、子どもがよくかかる風邪のウイルスは、名もないウイルスであることの方が多いです。
(有名ウイルスは症状が強いため、よく知られます。無名ウイルスは症状が弱いことが多いです。)

気道感染症以外には、
胃腸風邪」や、「感染性腸炎」なども熱の原因として多いです。

これらは、腹痛、下痢、嘔吐などの症状が伴います。

6歳以上の子だと、このような時も、頑張って水分をこまめに採ったり、
ゼリーなどカロリーがあるものを少しずつ食べることが出来るので、
すぐに脱水になることはありません。

病院受診は、

  □心配な症状が他にある時
  □食事が気持ち悪くて全く食べれない。
  □水分を採っているが、それ以上に嘔吐・下痢がひどい
  □唇の乾燥がひどい
  □顔色が悪い

などがあるときは、受診しましょう。

入院にならなくても、病院で点滴1本分を入れてもらうだけで、
症状が明らかに改善することもよくあります。

③どういう症状で入院になる子が多いですか??

まず多いのは、肺炎です。

この原因はウイルス感染の場合も、細菌感染の場合もあります。
これは1日の熱の変動(=熱型)も大事ですが、
採血検査で「ウイルス」か「細菌」か判断することになります。

また、肺炎は胸部レントゲンで診断となるので、病院に受診しないと分かりません。

肺炎の特徴としては、

  □熱がいつもよりも続く。
  □咳がひどい、痰が絡む。
  □息をしていると、ゼーゼー聞こえる。
  □肩で呼吸をしている。

などです。(肺炎の時は、普段と明らかに違います。)

少しでも気になる症状があれば、早めに病院受診しましょう。

「早期発見」が重症化を防ぐことが出来ます。我慢はなるべくやめましょう!

他にも、嘔吐で入院する子は多いです。

ケトン血性嘔吐症です。
よく病院の尿検査で「ケトンが出ています」と言われたこともあるかと思います。

ケトンは、体調が悪く、食事や水分があまりとれていないと、体に溜まります。
→ケトンが溜まると気持ち悪くなり、余計に食事・水分が採れなくなる
 →さらにケトンが溜まる→さらに食事・水分が採れなくなる→・・・・・

という悪循環に入ってしまします。

これを断ち切るには、点滴で水分を入れてあげて、ケトンを薄めるしかありません

大きな子だと、多少ケトンが溜まっていても、こまめに水分を採ることで改善する子もいます。

しかし、悪循環に入ってしまうと、急速に脱水症になることもあるので、
症状がひどくならないうちに、病院受診をして、1~3日入院することをお勧めします。
(入院しなくても、点滴1本入れてもらうだけで全然違います!!)

ケトン血性嘔吐症は比較的早く退院できるものなので、
早めに入院することで、症状もすぐ治ります。
あまり無理はしないでくださいね。

④「熱+腹痛があります。」は特に注意を。(もう腸は危険)

この頃に怖いのが、虫垂炎(もう腸)です。

もちろん、胃腸風邪など、普通の風邪でも腹痛は起きます。

なぜ虫垂炎が怖いかというと、

子どもの虫垂炎は破れやすいからです。

そもそも、「もう腸」とは、「なくてもいい存在」です。
体が作られる過程で、仕方なく作られてしまう「余りもの」です。

ここに便などの汚いものが溜まってしまい、炎症が起こり、「虫垂炎」となります。

子どもの時は、まだ腸管も未熟なので、炎症によって腸が破れ、
お腹の中にばい菌がばらまかれてしまいます。

なので、特に子どもの虫垂炎は注意する必要があります。

早めに受診し、発見することで、
手術を回避し、抗生剤治療のみで治ることもよくあります。

以下の時は、虫垂炎(もう腸)の可能性があるので、病院を受診しましょう。

  □最初は、みぞおち付近が気持ち悪かったり、痛かったりしていた。
  □その後徐々に、お腹の右下に痛みが移動してきた。
  □痛みの強さに波はなく、ある一定の痛みがずっと続く。

(時々、お腹の左下が痛いと言って、虫垂炎だったということもあります。
 炎症が広範囲に波及して、左にまで痛みがあったものと思われます。
 普段と違う痛みを訴えている時は、特に注意しましょう。)

◎まとめ

6歳以上の熱は、自分の免疫力で治ることが多い。

中には重症になることもあるので、気になる症状があれば受診を。

早期発見、早期治療が大切です。

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