3~6歳の熱は大丈夫!?

こんにちは!

今回は「3~6歳の発熱」で受診すべきかどうかについて、
診察の際によく聞かれるフレーズをもとに解説していきます。

①40度の熱が続いています。脳は大丈夫ですか??

よくご両親から聞かれます。

結論から言うと、大丈夫です。

基本的には41度以下なら問題ないとされています。

しかし、40度あるということは、感染力の強い病原体に対して、
体がとても頑張っている状態です。

⇒このような時は病院に受診しましょう!!

この時に、心配になってくる病気としては、
「髄膜炎」や「脳炎」があります。

これらは命に関わってくる病気なので、
病気のサインに早く気が付かなければいけません。

これらのチェック項目としては、

  □首の後ろが痛い。首を動かしたがらない。
  □何回も嘔吐をする。
  □痙攣がある。
  □意識がはっきりしない。会話が成り立たない。
  □ずっと眠そうにしている。
  □定期ワクチンを打っていない。

などが挙げられます。

とても怖いですよね。この病気は小児科医も一番恐れている病気の1つです。

このうち、どれか一つでも当てはまれば、すぐに病院に受診しましょう!!

しかし、これらが当てはまる場合、必ずしも「髄膜炎」や「脳炎」ではありません。

「痙攣」→熱性けいれん、てんかん
「意識がはっきりしない、会話が成り立たない」→熱せん妄

の可能性も、もちろんあります。

また、日本では「肺炎球菌ワクチン」や「Hibワクチン」が普及したことにより、
「髄膜炎」や「脳炎」を見ることがほとんどなくなりました。

ワクチンの効果は絶大だ!!と心から想っております。

ワクチンは必ず打つことをお勧めします。

②熱以外にも、嘔吐・下痢がありました。

これは季節にもよっても頻度が変わってきますが、
この頃のお子さんだと、必ず経験がある症状だと思います。

どのような順番で症状が出てきたかで、原因が変わってきます。

「嘔吐→下痢」の順番だと、胃腸炎(胃のあたりの感染)
「下痢→嘔吐」の順番だと、感染性腸炎(小腸・大腸の感染)

の可能性が高いです。

これらはほとんどがウイルス感染であり、自分の免疫力で治すことになります。

食事・水分が採れていれば様子を見ても大丈夫ですが、

「全然水分が採れない」、「食欲が全然ない」

というときは点滴が必要になる可能性もあるので、
病院受診をお勧めします。

③高熱があります。解熱剤は使った方がいいですか??

解熱剤は、小児科医の中でも、
どういう時に使うかは、先生によってそれぞれ違ってきます。

私は解熱剤を、

「熱があり、そのせいでぐったりしている子」に処方しています。

子どもは熱があっても、ケロッとしていて元気な子がたくさんいます。
そういう時は解熱剤を飲んでも、飲まなくても、症状は特に変わらないので、処方しません。

また、他の投稿でも何度も書いている通り、

「熱の変動(=熱型)」というのが、とても大切な観察項目になります。

解熱剤をむやみに使うと、これが分からなくなってしまうので、
これも解熱剤を、熱の子みんなに処方していない理由です。

ですので、解熱剤を使う基準としては、
「熱のせいでぐったりしている」時に使うようにすることをお勧めします。

④痙攣しました!!その時に初めて熱に気が付きました。

このようなことは、よくご両親から聞きます。

「今日の朝までは元気で熱がなかったのに、昼に痙攣して、その時に熱に気が付きました」

などと、ご両親からよく聞きます。

熱性けいれんは、

「熱が上がってくるタイミングで起こる」と言われています。

なので、熱に気が付かないことは、よくあります。

また、熱性けいれんにも、
軽症な「単純型」と、重症な「複雑型」があります。

軽症なものは、「すぐ止まる」「全身で震えている」ものとなります。

「複雑型」の注意点としては、

  □体の一部が震えている。
  □15分以上痙攣している。
  □1日のうちに痙攣が何度か繰り返される。

このような時は必ず救急車を呼びましょう!!

また、熱性けいれんは初めての方だと、とても怖いですが、

出来れば、

「何分けいれんしたか?」「目や手足はどのような動きだったか?」

を覚えていると、小児科医の診察の助けとなります。

何回か経験があるお母さんだと、動画を撮影して見せてくれたりもします!

⑤昔、熱性けいれんがありました。解熱剤は使った方がいい??

熱性けいれんは、6ヶ月~5歳までに起こるものと言われています。
中には、5歳以降にも起こる子もいます。

昔熱性けいれんがある場合、ない子よりは起こる可能性がありますが、
2回目を起こす子の方が少ないので、特に解熱剤を使う必要はありません。

また、熱性けいれんは「熱が上がるとき」に起こりやすいといわれているので、
解熱剤で一回下げて、効果が切れてきて、
また熱が上がるタイミングで、けいれんが起こってしまう可能性があります。

前述したとおり、熱のせいでぐったりしている時は使うようにして、
「熱性けいれん予防」のためだけには使わない方がいいと思います。

むしろ、「ダイアップ」などのけいれん予防の薬を使うことをお勧めします。
※ただし、けいれん予防の薬は、「眠くなる作用」があるので、
 少しぼーっとしてしまいます。

◎まとめ

胃腸炎、感染性腸炎はよく起こります。

食事・水分が採れなくなったりしたら、すぐに受診しましょう!!

また、解熱剤はむやみに飲むのはやめましょう。熱でぐったりしていたら飲む!!

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